これまでどんな経験をしてきたの?
作業療法を学んでいた大学生のころから、中京区の児童館で学童と接し、宿題や遊びなど放課後の活動を支援してきました。
大学を卒業してからは、急性期の病院に勤務し、大別して4つの活動に取り組みました。
1. おもに手や指の骨折など整形外科疾患や脳血管疾患、難病を抱えた成人の患者様に対する機能回復訓練(世間のイメージでいうリハビリ)
2. 活動分析という科学的視点に基づき、身の回りの生活動作(ご飯を食べたり、トイレに行ったり、お風呂に入ったり等)を安全に行えるようにするための練習や住宅環境整備の提案
3. 循環器疾患や認知症などを抱える患者様には、入院中に体力を落とさず、生活の質を高めていけるような余暇活動の提案、そして退院後に自宅で安全に生活を営むための生活上のアドバイス
4. 発達障害を抱える子どもたちへの作業療法
どうして病院から保育所・学童保育所に移ったの?
大学在学時に経験した児童館での勤務以来、子どもたちの生活や成長を、様々な専門性を持つ「多職種連携」により支えていくモデルに関心を持っていました。美樹和会では、2018年4月から、「保育士とともに心理職やリハビリ職が協働して、子どもたちの健やかな生活を支えていく」という全国的にめずらしい取り組みが始まっていることを知り、これはまさに私が思い描く理念に合う挑戦だと直感しました。そこでリハビリ職(作業療法士)である私も参画し、地域の子どもたちの成長と発達を多職種と協働して支えていければと思ったのが経緯です。
作業療法士の専門性を子どもたちにどう役立てるの?
子どもの身体面および社会性の発達の程度を見極め、子どもが取り組む遊びや学習の様子を作業分析という視点から、つまづきを発見し、「さりげなく」動作面でのアドバイスや、訓練要素を盛り込んだり、児童が楽しく遊んでいるうちに、「何気なく」体や心が育っていけるようにするための遊びの提供、環境の調整を図るようにしております。
この「さりげなく」、「何気なく」というのが一番のポイントと考えています。というのも、子どもの生活を科学的に分析したうえで、自らが育つ力の後押しを陰ながら行うときには、子どもにとって異物な存在とならないことが原則と考えるからです。逆に、専門的知識のみに頼りすぎ、子どもの「問題点」を見つけて「矯正」しようというスタンスは、子どもにとって異質な関わりになり、そのような支援は効果を十分に出せません。子どもには自身が専門職だとわかってもらう必要などなく、「一緒に遊んでると楽しいお兄ちゃん」という立ち位置であるのがベストです。